2015年5月25日

CeVIO で歌わせる時に考えていること


↑この画像に使った CCS ファイルは→こちらからDLできます

自分が CeVIO で歌わせる時に考えている内容を書きます。
歌わせ方のコツからミックス時の話までひと通り。

まあ一年後には自分でも全然違う手法になっているかも知れないものの、少なくともここ2年程度の間に培ったノウハウ的なものは大体吐き出すつもりなので、使えそうな部分があれば適当につまみ食いでもしてください。

なお、画像の下の小さい説明文のところにはしばしば mp3 へのリンクがあり、画像で解説している内容が視聴できるところがいくつかあります。 説明と合わせて聞いてもらえると、より理解が深まるかもしれません。

  1. ミックス時の話
    1. 存在感の希薄なリバーブ
    2. どう攻めるか
    3. 実際にエフェクトをかけてみる
  2. CeVIO を使う時の基本姿勢
    1. 音量、パンは変更しない
    2. 書き出す時はトラック単位
    3. 全てのビブラートをピッチで手入力する時は標準のビブラートを無効にする
    4. ピッチを描く時は必ずズーム状態で描く
    5. データを入力する時はノート→TMG→PIT/VOLの順
    6. CeVIO で作ったデータを VOCALOID や UTAU に持ち込むなら
    7. まとめ
  3. 調声の話
    1. VOCALOID を使ったことがある人へ
    2. 歌わせる時は「本人に任せる」のが楽
    3. スタッカートとブレスについて
    4. 「yes」などの発音をそれっぽくするための母音の脱落記号と「_0」の話
    5. 母音が綺麗に繋がらない時
    6. 発音が気に入らない時
    7. ピッチを描く
  4. 終わりに

■ 1. ミックス時の話

CeVIO 上でのアレコレの話の前に、ミックスの話です。
ぶっちゃけ CeVIO の場合細かく弄らなくてもミックスが良ければかなり聴けるデータになると思います。
なのでこのサンプルデータを元にして、処理例などを連々と書いていきます。

1-1. 存在感の希薄なリバーブ

まず自分の中の大前提として、CeVIO は音声合成ソフトウェアであり、元になった人が歌いそうな感じの音を想像して出力してくれるソフトです。これは恐らく喉から声を出すところまでの音をシミュレートしてくれます。

しかし現実世界において我々の耳に最終的に入ってくるのは喉から出たダイレクトな音ではなく部屋の反響なども含めた音なので、CeVIO が出力した音を直接聴くと(伝わらないかもしれませんが)物理モデリング音源の出力音をリバーブなしで聴いた時に特有の、嘘っぽい音になります。

なので自分が CeVIO のボーカルトラックをミックスする時は、ボーカルっぽいぼわーっとしたリバーブの前に、部屋っぽい薄いリバーブを先にかけるようにしています。

エフェクト前後の音を試聴する(※両方とも同じだけ元より音量を上げています)
これはフリープラグイン Voxengo OldSkoolVerb をセンドではなくインサートで入れた時の設定例です。
個人的には普段は(探さなくても最初からあるから) Cubase 付属のものを使っているんですが、Windows / Mac に対応していて今後も長らく配布してくれそうなベンダー、というところでここでは Voxengo のリバーブを選んでみました。

デフォルトから変更したのは赤枠で囲んだ TIME / WIDTH / REVERB GAIN の3つのみで、それぞれ 最低 / 最高 / -18db に変更しています。
ヘッドホンなど細かい音が聴こえる環境じゃないとあまり聴こえないような薄いものです。
また、WIDTH を変えていることからもわかる通りステレオチャンネル上での設定を想定しています。

1-2. どう攻めるか

普段イコライザーやコンプレッサーを入れる時はさっきのリバーブの前、リバーブとかディレイを入れる場合はさっきのリバーブの後ろ、という感じで追加していくんですが、「実際のところその辺のエフェクトはどのぐらいどんな感じでかけるの?」というのは、誰もが気になるところだと思います。

例えば petit milady 恋はみるくてぃ トラック5 を例に挙げますが、これはエフェクト処理済みのボーカルトラックが収録されたもので、もし作りたい曲調に近ければとても参考になると思います。
ちなみに余談ですが、このトラックを実際に買って聴くともっと高音もハッキリ聴こえるしマイクがヘッドホンの音漏れか何かを拾ったのかセリフ部分でオケが少し残っていたりと、なかなか面白いのでオススメです。

試聴で聴ける範囲を細かく見ていくと、基本的にはリバーブ、セリフに入る直前のフレーズはディレイ、セリフ部分には歌部分のリバーブはなし、とか多分そんな感じで場所によりかなり細かく調整されています。

しかしながらそれ以上に特徴的なのはやはりコーラスパートの多さで、いまどきの曲はコーラスパートが多い傾向にあると思うので、音が薄いのを解決するのはエフェクトではなくコーラスパート追加も手段として重要なこともある、ということは肝に銘じておく必要があると思います。

ということで、エフェクトをゴテゴテと盛って誤魔化す前に、まずはその辺を疑ってみてください。

1-3. 実際にエフェクトをかけてみる

コーラスパートの追加が重要なのはさておき、エフェクトの例を作ってみました。
(※これは今回説明のために改めて作ったもので、実際の楽曲に使われているものとは異なります)

エフェクト前後と伴奏付きの音を試聴する

今回はやはり無料で使える Guitar Rig 5 PLAYER でエフェクトを設定してみました。実際に使っているのは Guitar Rig 5 PRO ですが、PLAYER でも再現できる範囲で設定しています。
なお、Guitar Rig は名前にギターと入っているもののギター専用ではなく、実際にはギター以外の用途にも使える便利なエフェクター集で、無料版でもそれなりの種類のエフェクターが収録されているので便利です。

ここでは上で Voxengo OldSkoolVerb を使って説明した分も STUDIO REVERB で代用してみています。
個々の説明をしていく前に上記の設定がどんな感じの順番で適用されるか確認して下さい。


1-3-1. Gate

この部分の説明は CeVIO 3.2.17.3 がリリースされるより前に書いたものです。
CeVIO 3.2.17.3 ではノートのない小節が続く場合自動的にミュートされるようになったため、以前より神経質に削る必要はなくなりました。


まず枠外の一番上にある「Gate」です。
これはツマミで指定した音量以下の音はミュートしてくれるという、ノイズが多いギターにおいて特に役に立つ機能なのですが、CeVIO においても大変役に立ちます。
CeVIO ではメロディデータが存在していない部分でも常に微量にノイズが出続けているという謎の挙動があるのですが、このノイズは Gate を使うことでほぼ自動で切り落とすことができます。

緑咲香澄に3小節目でC4で「ドー」と歌ってもらった場合の書き出し例
画像は今回ミックス例に使ったデータとは違うのですが、緑咲香澄が歌っているデータを Wavosaur という Windows 専用の波形編集ソフトで出力時のノイズ部分を縦方向に拡大表示した時のものです。
上下ズームの影響で画面からはみ出す勢いの2つの大きな山がありますが、ひとつめはブレス、ふたつめは「ドー」とC4の高さで歌った時のものです。

波形表示エリアの左側にある目盛りに注目すると、真ん中が無音、そこから上下に離れるごとに -78db -72db -69db と書いてあります。
ノイズがある部分はおおよそ -72db より下の範囲で収まっているので、この場合 Gate の設定を -72db 以上に設定するとノイズを削ぎ落とすことができることになります。
ただし、みてわかるようにブレスも結構小さい音なので、あまり適当に設定するとノイズと一緒にブレスを巻き添えでそぎ落としてしまうので設定値には注意が必要です。

Guitar Rig 5 では Gate は初期設定で有効で、しかも設定値は -71db なのでこの場合何もしなくても勝手に消えそうです。歌いだしの前など目立つブレスが消えないできちんと残っているかとか、変なところでノイズが漏れてこないかチェックしましょう。
もし上手くいかない場合は消えてしまうブレスの音量を CeVIO 側で上げておくとか、ノイズを CeVIO 側で下げておくとか、Gate を使わずに手動で削るとか、色々やってみてください。

1-3-2. PRO-FILTER

一番左のツマミを 150Hz、一番右のツマミを HPF にして、緩やかに低音を削っています。
HPF はハイパスフィルター、ハイをパスするフィルターで、逆に言えばローカットフィルターです。
今回のサンプルでは一番最初の歌い出しがかなり低い音なので影響が強めに出ます。

1-3-3. TUBE COMPRESSOR

まず子音が潰れないよう ATTACK を 3.00 にして少し遅めにしました。
あとはこのコンプのデフォルト設定はかなり強く潰しているようなので、それを柔らかくするために RATIO を 9 : 1 に、THRESHOLD を -36db にしました。

1-3-4. PARAMETRIC EQUALIZER

声をもう少しキラキラさせるために4kと8k周辺を持ち上げました。
Q の設定が標準だと見えていないので EQ の右上にある ▲ をクリックして詳細設定を開きます。
左からそれぞれ 4019Hz / +3.4db / 0.30 と 8074Hz / +5.4Hz / 0.34 に設定しました。

1-3-5. STUDIO REVERB

ほぼ聴こえないレベルの方です。
WET / ROOMSIZE / BRIGHT をそれぞれ 20.3% / 2.66 / 最大 に設定しています。
Voxengo OldSkoolVerb で設定した時よりも更にドライな設定です。

1-3-6. STUDIO REVERB / DELAY MAN

残響成分ですが、Tools にある Split を用い、2つに分離してかけてみました。
リバーブとディレイがお互いに干渉しないので両方かけても多少スッキリしています。
リバーブ側は ROOMSIZE と BRIGHT を上げて、ディレイ側は TIME を 233msec にしました。
ディレイはもう少し控えめでも良かったかもしれません。

1-3-7. まとめ

以上のような感じで一部 CeVIO に特化した話もあったものの、ミックス周りは通常のボーカルのミックスと大きく変わりません。実際のミックスでは更に曲の展開に合わせてトラックの音量をオートメーションで変えて起伏を作ったりしています。

ミックスの細かい部分に関しては曲ごとに変わる部分も大きいのでここに書かれたものを鵜呑みにしても上手くいかないことも多いと思いますが、取りあえず無料の Guitar Rig 5 PLAYER があるだけでもわりといい感じにできる、という感じでどうでしょうか。

■ 2. CeVIO を使う時の基本姿勢

自分が使う時に心掛けている話で、これらは自分の中ではほぼマストです。

2-1. 音量、パンは変更しない

せっかく各トラックに付いている音量調節やパン機能ですが、これらはあまり積極的には触りません。
最終的には DAW 側で設定するし、個人的には編集と書き出しを繰り返す場合に途中で変えて DAW 側でコンプの掛かり方が変わったりと余計なトラブルを生まないために後述するトラック単位の書き出しを使っているため、ここでの設定内容は最終的には DAW 側には一切持ち込まれません。

また、ツールメニューからオプションを開いたところにある「トラック設定」タブのベースボリューム設定も一切変えません。一度これを変えてしまうとマウスでは初期値に戻すのが難しいし、何となく CCS ファイルを開く環境によって音量バランスがぶっ壊れるんじゃないのかという気がするので変えないようにしています。ベースボリューム設定は将来的には廃止されるようです。

ゼロに戻すには設定ファイルを直接書き換えるか、一度端にくっつけてから矢印キーを160回分押せばいい
数値入力できない上に細かい値を設定させるツマミは基本的に悲しみを生みます。
なお Guitar Rig 5 も数値入力できませんが、こちらは Shift キーを押していると細かく設定できますし、ダブルクリックすると初期値に戻せるようになっているので悲しみは少なめです。
なお、CeVIO 3.2.17.3 以降ではボリュームやパンを Ctrl + クリックすることで初期値に戻すことができるようになりました。

2-2. 書き出す時はトラック単位

CeVIO 上では各トラックに対してエフェクトをかけたりできず機能としては不十分で、他のソフトでエフェクトをかける場合は複数のトラックがミックスされている場合処理しづらくなるため、ミックスダウン書き出しを使う理由が基本的にありません。
そのため、書き出しは基本的にこのメニューから WAV 書き出しを選んで使用します。

トラックのタイムライン上で右クリックすると出てくるメニュー
トラック単位で書き出しておけば例えばコーラスを修正して書き出し直す時もコーラスだけを書き出せばいいので必要最低限の負荷で書き出せることになり、長い目で見ると作業効率が上がります。
また、トラック単位での書き出しはベースボリュームの設定やトラック毎のボリューム設定、パン設定が影響しない上モノラルオーディオファイルとして書き出されるので、悲しみも無駄も少なくて済みます。

2-3. 全てのビブラートをピッチで手入力する時は標準のビブラートを無効にする

無効にチェックを付けると無効状態が有効になるメニュー
メニュー上に無効化できる項目があるので、これにチェックを付けることで無効にする機能を有効にできます。

ビブラートをピッチで描くこと自体はよくあることですが、その場合「ビブラートの振幅」をゼロにしておかないと自分がピッチで描いたものと干渉してしまい、本来イメージしていた高さで出力されないという想像に難くない問題が起きるので、ピッチで描く場合は始めから無効化しておきます。

これに関しては神無月Pさんが Twitter で書かれていたような(その1その2)、ピッチの画面でビブラートの振幅が加算された状態で見えるようになると状況も変わるかも知れません。
(が、多分個人的には全て手描きしたい時はビブラートに人間味のあるムラを求めてるシーンだと思うので結局あまり使わないような気はする)

2-4. ピッチを描く時は必ずズーム状態で描く

CeVIO のピッチツールは大変センシティブで、あまり考えずにパパっと描くといい感じになりません。
なぜセンシティブなのかというのは非常に簡単な理由です。

VOCALOID で PBS=2 の時の CeVIO での範囲
そのままの拡大率でピッチを描いてしまうと精細なラインが要求されるシーンを画面上のわずか数ピクセルの中で表現しないといけないことになり、難易度が上がるというか無理に近い状況に陥ることになります。

そのため、作業時にはかなり拡大しておかなければ綺麗なデータが作れません。自分の拡大率の目安は縦方向が1オクターブ程度で、いつも同程度に拡大すればビブラートを描く時に同じ大きさで描けば同じ振幅のビブラートになり作業しやすいです。

自分が作業時に実際に使っている拡大率
2-5. データを入力する時はノート→TMG→PIT/VOLの順

基本的にピッチやボリュームはノートと TMG の情報を元にしているので、自分でピッチやボリュームを書き換えた後に改めてノートや TMG を触り直すとピッチやボリュームの部分が乱れるため実際のところこの辺は結構やり直しになります。

これは構造上仕方がないことなので、せめてもの抵抗ということでメロディの入力と TMG の編集で大体納得できるレベルまで編集してから PIT と VOL の調整を始めるようにしています。
そうすると並行作業するよりも幾分作業効率が良くなります。

2-6. CeVIO で作ったデータを VOCALOID や UTAU に持ち込むなら

メロディを DAW で作ってから持ち込んでいる場合は MIDI を各種ソフトに持ち込む感じになるのでそれでもいいですが、CeVIO で作ったデータから歌詞付き MIDI ファイルを作るためのツールを先日作りました。

http://oov.github.io/mxl2mid/
(Safari 以外の最新のブラウザでアクセスして下さい)

「MusicXML の書き出し」で出力したファイルを MIDI に変換できます
CeVIO と VOCALOID や UTAU とデュエットさせたい時とか、作業量を減らせると思うのでもし良ければ使ってみてください。
ちなみに CeVIO の 2015-05-22 のアップデートにより CeVIO 自身でもインポートできるようになりました。

2-7. まとめ

結局のところ CeVIO が持つ機能のいくつかを使わないことによって作業効率を上げています。
ミックス周りの機能が DAW の操作性に追いついていないなど仕方がなさそうな部分もあるものの、音量ツマミが -24db までしか下げられないために外部オーディオトラックの音量調整が上手くできないなど機構上の粗も目立ちます(ベースボリューム併用でもっと下げられるが、なぜそんな二度手間が必要なのか)。
適材適所という言葉もあるので、使いたい部分を上手く組み合わせて使うのがいいと思います。

■ 3. 調声の話

この辺も人によってやり方や考え方は様々だと思うので一例という感じでお読み下さい。

3-1. VOCALOID を使ったことがある人へ

ボーカルパートを作るという目的の上では最終的に目指すピッチの動きなどが似ることは多々ありますが、ソフトの使い方のお作法という意味では VOCALOID での経験が使えない場面も多々あります。

VOCALOID での経験は一旦色々忘れると楽になります。
新しく覚える必要がある要素は決して多くはありません。

3-2. 歌わせる時は「本人に任せる」のが楽

基本的に CeVIO は元になった人の歌い方を再現しようとする性質があり、つまりキャラクターによって声だけではなく音の高さの変化の速さや発音のタイミング、ビブラート具合など歌い方自体が異なります。

ピッチ変化の違い。ONE はアップテンポな曲、金咲小春はスローテンポな曲が歌いやすい
これらの特性は細部を細かく沢山変えることによってある程度塗り替えることはできるものの、その上で滑らかに歌わせるのはやはりなかなか難しいです。
そのため、そのキャラクターが得意な感じの歌を本人任せで歌ってもらい、気になるところだけ注文を付ける感じで直していくのがクオリティも作業量もいい感じで進められると思います。

3-3. スタッカートとブレスについて

「かもめの水兵さん」の「かもめ」の部分をスタッカートでリズム良く歌わせてみましょう。

打ち込み比べてみたものを試聴する
CeVIO は音符がない場所にある程度の余裕があればそこでブレスを入れることがあります。
場合によりこのようなシーンでも細かくブレスが入ることがあり、そういう時は音符自体は繋げたままで歌詞として「っ」を入力することによって「cl」という無音部分を意図的に作ることができます。
(むしろ、ブレスが入って欲しくない場所は全て「っ」で入力したほうがいいと思う)

また逆に、意図的にブレスを入れることもできます。

右クリックメニューから開けるプロパティにブレスの項目がある
このようにすると、音符が繋がっていてもブレス「br」が入ります。

こちらのブレスは短い時間で一気に吸い込む動きが向いていることが多いようなので、個人的にはAメロとBメロの間のように時間に余裕がある場合は休符によるブレス、忙しいフレーズの途中での息継ぎにはプロパティからのブレスのような形で使い分けをしています。

3-4. 「yes」などの発音をそれっぽくするための母音の脱落記号と「_0」の話

「yes」を発音させる時は「いぇす」というよりは「いぇs」ぐらいで、「す」は子音から母音までキッチリ発音しないほうがそれっぽく聴こえます。
これを実現させるために CeVIO には「母音の脱落記号」というものがあり、以下のようにすると使えます。

比べてみたものを試聴
単純に全角のアポストロフィー「’」を後ろに付けるだけです。

なおこれは本当に「desu」を「des」にするように本当に母音を脱落させるだけで、VOCALOID で無声音のために「_0」を付与するものとは異なります。
寒い時に手を温めるために息をかける「はー」とか、熱いものを食べる時の「ふー」とかの喉の振動が伴わないものが無声音です。
テレビの寝起きドッキリで最初に言うようなヒソヒソ声での「おはようございます」とか、母音を含む言葉も無声音のままで発音できます。

3-5. 母音が綺麗に繋がらない時

「青い家」のような母音が連続する歌詞の時、歌い方がぎこちない感じになってしまうことがあります。
このような時は「スラー」を使うと改善する可能性があります。

比べてみたものを試聴
スラーは右クリックメニューから開ける音符のプロパティで設定することができます。
この場合だと「あ」でスラーの開始を、「え」でスラーの終了を指定します。
CeVIO 3.2.17.3 以降ではスラーにしたい範囲のノートを選択して「R」ボタンを押すことでもスラーを設定できます。

ただしこれは上手くいった場合で、キャラクターによってはスラーでは改善しないことがあります。
その場合はこの動画のように TMG を調整することで、滑らかに歌えるようになるかも知れません。

3-6. 発音が気に入らない時

歌ってもらう内容によってはなんかいい感じの発音にならない時もあります。
以下は黄咲愛里に「ミカヅキモ」と歌ってもらった例です。

そのままだと「も」が「もら」に聞こえるので直した例。比べてみたものを試聴
パッと見ではゴチャゴチャしていて取っ付きにくい TMG 画面ですが、実際に使うのは簡単で、下のアルファベットが書いてある部分の線を引っ張って母音や子音の位置を移動させたり、その上の線を引っ張って発音する上で気に入らない区間を縮めたりいいところを伸ばしたりして使います。

今回の例では「あ」に近い発音の目立つ区間を潰すことで歌い方を抑えこんでいます。
なお、このように TMG を変更すると場合によってはピッチがずれて音痴になったりもするので、改めて直してあげないといけないこともあります。

3-7. ピッチを描く

これは CeVIO に限った話ではないのでここであまり真面目に書く必要もなさそうですが、よくあるパターンを簡単にまとめてみることにします。
音量の変化も合わせて描くとより効果的なパターンなどもありますが、ここではピッチのみの変化で紹介します。

3-7-1. 上から入る

癖のある歌い方をさせたい時に。試聴
上からでも下からでもアクセント強めの印象にしやすいです。
例えばオコメライスで「タカハシもハマってるんだよ」のところは印象的にする目的で上に抜けるのと合わせて過剰に使っています。

3-7-2. 上に抜ける

ヒーカップ唱法的な奴。かわいい表現としても。試聴
B'z の稲葉さんの歌い方で頻繁に見られる形なので愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけないをカバーした時には多用しました。
下に抜ける形は力を抜いていく感じの表現として使えます。

3-7-3. 前にずらす

多分バラードとかでは特に頻繁に出てくるパターン。試聴
よく使います。上手く歌ってる風になるか調子に乗ってる風になるか使い方次第で変わりそうです。

3-7-4. 後ろにずらす

これもバラードとかで頻繁に出てくるパターン。試聴
これも同じ感じです。

3-7-5. 優しく

スローテンポな曲とか、柔らかい歌い方をさせたい時。試聴
緩やかに目標のピッチに移行するイメージです。
これは例えば「レ」の頭を下から持ち上げていますが、「ド」の後ろを持ち上げる手もあります(上から下に向かう場合はそのほうが安定しやすいです)。
ただしこれはミスると音痴に感じやすいので注意も必要です。

3-7-6. 強く

ちょっと上に行きすぎる感じで力みを表現。試聴
アタック感強めな感じをピッチで演出しています。2013年にささら音頭を作った時、当時は CeVIO にピッチ編集機能が無かったので VocalShifter を使っているものの、同じ手法を用いて表現しています。

3-7-7. まとめ

ピッチ周りは本当に色々な表現があるし、実際に歌っているものを参考にすると得られるものがたくさんあるので色々な曲を聴いてみるのが一番いいと思います。
得られたバリエーションは音声合成に留まらず自分で歌う時でさえ活用でき、とても有用です。

■ 4. 終わりに

CeVIO 界隈はまだまだ発展途上にあり、例えば pixiv に投稿されるイラストなども決して多くはないのですが、2013年にりちかさんが投稿されている【動画作成にご利用ください】 「CeVIO支援中」タグというものもありまして、イラストを投稿される際には差し支えなければこのタグを付けて頂けると、楽曲用の動画製作時に利用させて頂く選択肢が増えるので大変嬉しく思います。
(ところで piapro はここに CeVIO キャラの名前がなく投稿は厳密には NG のような気がしているので、CeVIO 関連は自分のアカウントからは登録しないようにしています)

また、Color Voice Series を使ってニコニコ動画に投稿する際は nc107951 を親作品に登録してくださいとの事で、登録するだけの簡単なお仕事なのでこちらも是非登録していくと良いと思います。

あと、
とのことですので、こちらも合わせてご利用下さい。
http://satosasara.com/ のコンテンツ欄に載ったりします。

CeVIO における音声やキャラクターの利用可能な範囲については無料版が出た当時色々言われていたものの現在はかなりオープンになっており、非商用でも商用でも使える範囲について細かく記載されているので、是非確認してみるのをオススメします(ONE や Color Voice Series など他社キャラクターのライセンスは各社の HP 上にあるのでそちらも確認して下さい)。
不明点がある場合も質問すればきちんと答えてくれると思いますので Twitter とかで「わからない…」とか呟くぐらいなら実際に聞いてみるといいと思います。

個人的にも CeVIO 界隈にはもっと盛り上がって欲しいと思っていて、そのために自分が持てる情報は積極的に公開していこうという考えのもと、最近は CCS ファイルの公開やこのブログの記事を書いたりなどしております。
自分だけがこういう情報を持っていても少し優越感に浸れるぐらいしか利点がなくて全然面白くないし、もっと他の人にも CeVIO を使ってもらい面白い何かを作って欲しいな、という心境です。

どんどんお願いします。どんどん。

2015-05-26 - 「ささら.com_掲載OK」に関する記述を追加
2015-05-28 - タイトルっぽい画像を追加
2015-05-28 - CeVIO 3.2.17.3 のリリースに伴って変わった部分について追記
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